法律
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び住民基本台帳法の一部を改正する法律
法律のあらまし
一 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正関係
酒類の製造免許に関する事務、司法書士等の国家資格に関する事務等において個人番号を利用することができることとした。(別表関係)
二 住民基本台帳法の一部改正関係司法書士等の国家資格に関する事務等を機構保存本人確認情報の提供等を受けることができる事務として追加することとした。(別表第一別表第五関係)
三 この法律は、一部を除いて公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。
かんたん解説
特定の行政手続きにおいて、マイナンバーの利用範囲が拡大された。
また、司法書士などの国家資格を持つ専門家が、特定の業務を行う際に、住基ネットに保存されている本人確認情報の提供を受けることができるようになった。
情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律
かんたん解説
電磁的記録提供命令を受けた場合の守秘義務期間は1年以内とされ、個人情報保護のため、事件と関係ない情報の取得は避けるよう最大限配慮が求められる。身体を拘束されている被告人や被疑者が弁護人と円滑に連絡を取れるよう、映像と音声を使った通話の導入を推進し、秘密の確保と不正防止に努める。
特別会計に関する法律の一部を改正する法律(四〇)
法律案の趣旨1
財政投融資特別会計投資勘定(以下「投資勘定」という。)の財務の自立性を高め、資金繰りに柔軟性を持たせながら、政策的重要性が高く成長が見込まれる分野等に対し、安定性を確保しつつ、機動的投資資金を供給することが必要。
このため、同勘定からの投資財源資金への繰入れや決算剰余金の組入れ、並びに同勘定において借入れを可能とする等の措置を講じる。
法律案の概要
(1)投資財源資金に関する規定の整備
- 投資勘定からの投資財源資金への繰入れ及び決算剰余金の組入れを可能とする。
- 投資勘定における決算上の不足について投資財源資金からの補足を可能とするほか投資勘定の経理に係る規定を整備する。
(2)借入金等に関する規定の整備
- 資金調達手段として、投資勘定における借入れを可能とする。
- 借入れを可能とすることに併せ、一般会計からの繰入対象経費を限定する。
かんたん解説
「投資勘定」とは、「財政投融資特別会計投資勘定」の略称。日本の特別会計の一つであり、主に財政投融資計画に基づき、政府系の金融機関や特殊法人などに対して財源を供給し、投資を行うための勘定のこと。
政策的重要性が高く成長が見込まれる分野等に対し、安定性を確保しつつ機動的投資資金が投入されるように、法律が整備された。
下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(四一)
法律の背景・概要
- 近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、発注者・受注者の対等な関係に基づき、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図っていくことが重要。
- このため、協議を適切に行わない代金額の決定の禁止、手形による代金の支払等の禁止、規制及び振興の対象となる取引への運送委託の追加等の措置を講ずるとともに、多段階の取引当事者が連携した取組等を支援し、価格転嫁・取引適正化を徹底していく。
1.規制の見直し(下請代金支払遅延等防止法)
【規制内容の追加】
(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止【価格据え置き取引への対応】
対象取引において、代金に関する協議に応じないことや、協議において必要な説明又は情報の提供をしないことによる、一方的な代金の額の決定を禁止。
(2)手形払等の禁止
対象取引において、手形払を禁止。また、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な支払手段も併せて禁止。
※手形払の禁止に伴い、割引困難な手形に係る規制を廃止。
【規制対象の追加】
(3)運送委託の対象取引への追加【物流問題への対応】
対象取引に、製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を追加。
(4)従業員基準の追加【適用基準の追加】
従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設し、規制及び保護の対象を拡充。
【執行の強化等】
(5)面的執行の強化
関係行政機関による指導及び助言に係る規定、相互情報提供に係る規定等を新設。
2.振興の充実(下請中小企業振興法)
(1)多段階の事業者が連携した取組への支援
多段階の取引からなるサプライチェーンにおいて、二以上の取引段階にある事業者が作成する振興事業計画に対し、承認・支援できる旨を追加。
(2)適用対象の追加
①製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加
②法人同士においても従業員数の大小関係がある場合を対象に追加。
(3)地方公共団体との連携強化
国及び地方公共団体が連携し、全国各地の事業者の振興に向けた取組を講じる旨の責務と、関係者が情報交換など密接な連携に努める旨を規定。
(4)主務大臣による執行強化
主務大臣による指導・助言をしたものの状況が改善されない事業者に対して、より具体的措置を示して改善を促すことができる旨を追加。
かんたん解説2
近年の急激なコスト上昇に伴い、元請け・下請け間で適切な価格転嫁がなされるように、様々な立法がされている。
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律3
法律要旨
一、警察官職務執行法を改正し、警察庁長官が指名する警察官は、サイバーセキュリティを害することその他情報技術を用いた不正な行為に用いられる電気通信等又はその疑いがある電気通信等を認めた場合であって、そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に対する重大な危害が発生するおそれがあるため緊急の必要があるときは、そのいとまがないと認める特段の事由がある場合を除いてサイバー通信情報監理委員会の承認を得た上で、当該電気通信等の送信元等である電子計算機の管理者その他関係者に対し、危害防止のため通常必要と認められる措置であって電気通信回線を介して行う電子計算機の動作に係るものをとることを命じ、又は自らその措置をとることができるものとする。
二、自衛隊法を改正し、内閣総理大臣は、重要電子計算機のうち一定のものに対する特定不正行為であって、本邦外にある者による特に高度に組織的かつ計画的な行為と認められるものが行われた場合において、これにより重大な支障が生ずるおそれが大きいと認められ、かつ、その発生を防止するために自衛隊が有する特別の技術又は情報が必要不可欠であること等により自衛隊が対処を行う特別の必要があると認めるときは、自衛隊の部隊等に当該特定不正行為による当該重要電子計算機への被害を防止するために必要な電子計算機の動作に係る措置であって電気通信回線を介して行うもの(通信防護措置)をとるべき旨を命ずることができるものとする。また、当該措置をとるべき旨を命ぜられた部隊等の職務の執行及び自衛隊又は日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊が使用する一定の電子計算機をサイバーセキュリティを害することその他情報技術を用いた不正な行為から職務警護する自衛官の職務の執行について、警察官職務執行法の必要な規定を準用するものとする。
三、サイバーセキュリティ基本法を改正し、サイバーセキュリティ戦略本部について、内閣総理大臣を本部長、全ての国務大臣を本部員とする組織に改めるとともに、その所掌事務について見直しを行う。
四、内閣法を改正し、内閣官房に内閣サイバー官一人を置く。
五、この法律は、一部の規定を除き、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行の日から施行する。
かんたん解説
警察・自衛隊が、いわゆる能動的サイバー防御を行うことができるようにする法律。
また、サイバー攻撃の通信情報を、政府が収集・分析できるようになっている。
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(法律第四三号)(内閣官房)は関連立法である。
- 財務省.(2025年2月).特別会計に関する法律の一部を改正する法律案.https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/217diet/rz070221g.pdfより取得. ↩︎
- 中小企業庁.(2025年5月16日).下請中小企業振興法に基づく振興基準の一部を改正する告示案について.https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250516shitauke01.pdfより取得. ↩︎
- 参議院法制局. (2025). 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案(閣法第四号)(衆議院送付)要旨. https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/pdf/58021750.pdf ↩︎
国会事項
衆議院
法律公布奏上通知書受領
五月二十一日参議院議長から、次の法律の公布を奏上した旨の通知書を受領した。
- 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律
- 防衛省設置法等の一部を改正する法律
議案提出
五月二十一日議員から提出した議案は次のとおりである。
- 自動車盗難対策等の推進に関する法律案(田中健外一名提出)
- 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(円より子提出)
かんたん解説
議員一覧です。
- 田中健(国民民主党)
- 円より子(国民民主党)
議案通知書受領
五月二十一日参議院から、本院の送付した次の内閣提出案を可決した旨の通知書を受領した。
- 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案
- 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
質問書転送
五月二十一日次の質問主意書を内閣に転送した。
- ミミズ堆肥の農業利用および環境負荷軽減に関する質問主意書
- 水田の持続可能性及び陸稲の活用に関する質問主意書
- 学校における色覚の一斉検査に関する質問主意書
- 国民健康保険料に関する質問主意書
議事日程
五月二十二日の議事日程は次のとおり。
議事日程 第二十六号
令和七年五月二十二日(木曜日)
午後一時開議
第一 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案(内閣提出)
第二 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
第三 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
参議院
議案付託
五月二十一日議長は、次の議員提出案を委員会に付託した。
- 労働安全衛生法及び特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(石橋通宏外二名発議)(参第七号)→厚生労働委員会に付託
また、同日議長は、衆議院送付の次の内閣提出案を委員会に付託した。
- 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(閣法第九号) →文教科学委員会に付託
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)→厚生労働委員会に付託
議決通知
五月二十一日本院は、衆議院送付の次の内閣提出案を可決した旨衆議院に通知した。
- 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案
- 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
以下人事情報につき省略
質問主意書提出
五月二十一日議員から次の質問主意書が提出された。
- 大阪・関西万博の海外パビリオン建設費の未払に関する質問主意書(石垣のりこ提出)(第一二五号)
質問主意書転送
五月二十一日次の質問主意書を内閣に転送した。
- 元中国大使が中国の法律事務所の特別顧問である可能性に関する質問主意書(浜田聡提出)(第一一九号)
- 伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書(吉良よし子提出)(第一二〇号)
法律公布奏上及び通知
五月二十一日次の法律の公布を奏上し、その旨衆議院に通知した。
- 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律
- 防衛省設置法等の一部を改正する法律
皇室事項
御祝電
天皇陛下は、イエメンの統一記念日につき、五月二十一日同国大統領指導評議会議長閣下へ御祝電を発せられた。
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